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一般皮膚科

アトピー性皮膚炎

昨今、子どものアトピー性皮膚炎が急に減少してきています。

これには二つの理由があります。

一つはステロイド外用剤が正しく使用されるようになってきたことです。

専門医の指導のもと適切な外用をしていると、アトピー性皮膚炎も改善・治癒することに自信が持てるようになってきています。二十年前、ステロイド外用剤が一概に良くないというマスコミやそれに便乗した業者によってひきおこされた、ステロイドホルモンは一切使わない、という患者さんに取って不幸な時代は過ぎ去り、正しく使用されてくるようになりました。さらに、プロトピックというステロイドとは異なるタイプの外用剤が使用されると、重症のアトピー性皮膚炎の患者さんを診察する機会すら、減ってきたように思います。

もう一つは、アトピー性皮膚炎の研究のなかでスキンケアが重要ということが知られるようになってから、子どもの皮膚炎が軽くなってきていることです。抗アレルギー剤の内服と保湿剤の外用とで皮膚炎が重症にならなければ、症状は軽いままで、赤ちゃんから幼児へ成長していくうちになくなってゆきます。

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アトピー性皮膚炎は現在、スキンケアのみで改善できる病気と考えられています

「TARC」という血液検査で、表面的な皮膚症状だけではわからない、体の中の病気の勢いを数値で示すことができるようになりました。今の状態にあった適切な治療がアドバイスできるようになり、この検査を継続して検査していくなかで、アトピー性皮膚炎が再発しないようになる領域が存在することが知られてきました。その基準値まで改善してしまえば、湿疹の再発がなくなるのです。このことは、「プロアクティブ療法」という最新の標準治療を実践することで実現可能になってきました。薬の総使用量も減らせることが期待できます。

アトピー性皮膚炎は、小児・成人に限らず、「外用剤・内服薬の正しい使用法の理解と実践」「原因・悪化の原因をしらべ、適切に対応する」「スキンケア」が重要です。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを予防する観点からも、生後早期から湿疹の治療やスキンケアを行い、「経皮感作」を防ぐことが重要視されています。

乳児期の湿疹治療とスキンケアが様々なアレルギー疾患への進展を防ぐことができます。

保湿剤で乳児の発症率3割減少

乳児に保湿剤を毎日、約8カ月間塗ることでアトピー性皮膚炎の発症率を3割減らせたと、国立成育医療研究センターのチームが2014年10月1日、発表しました。保湿剤にアトピー性皮膚炎の予防効果があることを示したのです。両親や兄弟にアトピー性皮膚炎患者や経験者がいる乳児に1日1回以上、入浴後などに保湿剤を全身に塗るグループと、特別なスキンケアをしないグループ-に分けて調査した結果、保湿剤を塗ったグループの発症率は特別なスキンケアをしなかった場合に比べ、32%減ることが分かったそうです。乾燥などで皮膚の機能が低下するのを防いだためと考えられています。発症した乳児は、未発症の乳児に比べて、卵アレルギーの可能性を示す抗体値が高くなっていたということです。

湿疹があり、バリア機能が低下していると、食べ物の成分(アレルギー物質、抗原)が皮膚に侵入し、アレルギーが成立します。アレルギー物質(主に卵、小麦、牛乳)は、家庭内のホコリから検出されました。つまり、湿疹のある子どもさん、赤ちゃんが床で寝転がっていれば、いくら食事制限をしてもアレルギー物質が湿疹部位から侵入すると考えられます。ですから、乳児期の湿疹や乾燥皮膚をしっかりと治療することがアレルゲンの経皮感作やアトピー性皮膚炎の発祥の予防になるのです。食物アレルギーの患者さんがスキンケアをせずに食物制限だけをしても皮膚が悪化するだけでなく、アレルギー反応が進み、食物アレルギーが悪くなる恐れがあるため、要注意です。皮膚をしっかり治していくと、小児ぜんそく・花粉症・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎を予防できる可能性があります。

  • 強いかゆみに対して効果的な紫外線治療
強いかゆみに対して効果的な紫外線治療

付記

アトピー性皮膚炎のスポーツ選手に対するトレーナーのかかわり
 ~トレーナーやコーチ、家族が配慮できる対策と指導~

スポーツトレーナーや、コーチはアトピー性皮膚炎の選手を指導することが多いと思います。

スポーツが行われる環境は,ホコリ、紫外線、風、海水、暑さ、寒さ、など皮膚にストレスがかかる条件が多く、トレーナーはアトピー性皮膚炎患者に生じる様々なトラブルについて直接遭遇したり、相談を受けたりすることが多いことでしょう。

アトピー性皮膚炎の基本的な治療方針は、
 1. 外用を中心とした薬物療法
 2. 原因および増悪因子の検索、対策と生活指導
 3. スキンケア
です。
アトピー性皮膚炎は症状の軽重に関わらず、スキンケアを含む治療継続と環境保全を徹底するセルフケアが最も重要となる疾患ですが、競技者がスポーツの前後でセルフケアを自立して行うには、トレーナーの理解とサポートなしには困難です。トレーナーにはアトピー性皮膚炎の治療継続とセルフケアの支援を行っていくために、アトピー性皮膚炎に対する病気の理解と対応、家族との情報の共有、環境保全の対策が求められています。

食物アレルギーを伴うアトピー性皮膚炎が小児期アトピー性皮膚炎の最も大きな要因であるのに対し、ダニ、汗などによる環境因子による機序が青少年期のアトピー性皮膚炎の増悪因子として注目されています。このことを踏まえて、実践的なアドバイスをいくつか紹介します。

体育館の環境整備

体育館のホコリやダニに含まれるアレルゲンは、汗に溶解し、皮膚に侵入してアレルギー反応を増強させ、症状の悪化を招きます。そこで、体育館などの床をモップで掃くときに、ぬらしたモップを固く絞ったものを使用するとよいでしょう。アレルゲンは水に可溶性なので、湿ったモップはアレルゲンを除去するのに適しているのです。掃除機はホコリを巻き上げるので逆効果です。

スポーツ終了後のシャワー使用の指導 ~角層のバリア機能を保つ~

運動で発汗量が増加すると、痒みは増強します。屋外や海岸では日光による刺激が加わります。スポーツ終了後には十分にシャワーで洗い流し、乾燥を防ぐためのスキンケアを怠らないようにしましょう。いったん破壊された皮膚のバリア機能は、練習後急速に水分が蒸発し、逆に肌が乾燥してしまい、悪化因子の一つとなります。皮膚炎がないときにも保湿剤を使用してスキンケアを行うよう指導することはアトピー性皮膚炎の選手にとって重要です。保湿を中心としたスキンケアは,皮膚炎の予防と心身のリラックスという両面からも大切です。

日常の生活指導

規則正しい生活、寮や合宿所の水拭きを中心にした適切な掃除、衣類、寝具の洗濯などが大切です。食事はバランスよく食べることが大切で、小児期を除けば、アトピー性皮膚炎のために制限する必要はないと考えてよいでしょう。入浴は熱すぎる湯に長く入ったり、強く皮膚を擦ったりするのは望ましくないので、刺激を減らした入浴をお勧めします。

ドーピングコントロールとアトピー性皮膚炎

競技において、ドービング禁止物質との関連が問題となるが、実際には外用剤のみでコントロールできる事案が多く、ステロイド含有外用剤は、使用が認められていることをきちんと説明して安心して治療します。アトピー性皮膚炎への投薬でTUE(治療目的使用のための適用措置)申請を行うことは気管支喘息に比べても多くはありません。実際に軟膏処置をして、皮膚科専門医に相談しながらどの薬をどのくらいの量、どのように塗るのかを指導することが大切です。

水泳とアトピー性皮膚炎

一般に皆さんには驚かれるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎にとって、水に入ること自体は良いことです。青少年~成人期のアトピー性皮膚炎の悪化因子で、最も大きな因子は,ダニ,汗などによる外的環境因子による「アレルゲン(アレルギーのもと)の侵入」です。水泳では、プールに入ることでアレルゲンは水に流されてしまい、アレルギー反応をおこさないで済むわけです。水泳終了後のシャワー使用の指導が重要です。いったん破壊された皮膚のバリア機能は、温水プールに入ると、皮膚はいったん水分が補われるが、練習後急速に水分が蒸発することによって逆に肌が乾燥し,バリア機能低下の因子となります。皮膚の乾燥によるバリア機能の低下が、もっともかゆみのきっかけとなるのです。水泳終了後には十分に塩素をシャワーで洗い流し,乾燥を防ぐためのスキンケアを怠らないようにしましょう。体が乾かないうちにできるだけ早く保湿剤を使用することを忘れないで下さい。塩素消毒の行き届いた、水温の高いジャグジーやマッサージプールに長時間入るのも勧められません。プールに入る前に保湿剤を外用することは、撥水効果と,失われる皮脂膜の保護になるでしょう。また、練習中にはプールの残留塩素、屋外プールやオープンウォーターでは日光による刺激も加わるでしょう。ウォータープルーフの日焼け止めは現在、必須と考えます。

ゴーグルの問題点

目のまわりが赤くなる場合、ゴーグルによるアイカップを包むゴムなどによる接触皮膚炎の疑いもあります。ゴーグル、水泳帽の汚れ塩素が残ったまま放置しないようにします。さらに皮膚に触れる部分の素材を変えます。

参照

武藤芳照 鹿倉二郎 小林寛和 編 新スポーツトレーナーマニュアル 南江堂
日本水泳連盟編 水泳コーチ教本 第3版 大修館書店

診療時間

皮膚科・形成外科

9:00 ~ 12:00



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15:00 ~ 18:00

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